大阪高等裁判所 昭和28年(ネ)590号 判決
控訴人が被控訴人に対し金五万円及びこれに対する昭和二十七年二月十日から支払ずみまで年一割の割合による金員を支払うことを命ずる。
被控訴人のその余の請求を棄却する。
訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。
二、事実及び理由
控訴人は当審における口頭弁論期日に出頭しないが、その提出した控訴状の記載によると、「原判決を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求めるというにあつて、被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。
被控訴人の本訴請求原因として主張するところは、原判決事実記載のとおりであるからこれを引用する。
控訴人は原審及び当審における口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しないから、被控訴人が請求原因として主張する事実はこれを自白したものとみなす。しかしながら、被控訴人は右貸金の元金に対し昭和二十七年二月十日から支払ずみまで日歩二十銭の割合による約定利息及び損害金の支払を求めているから、この点について考えてみよう。被控訴人は貸金業等の取締に関する法律の規定による貸金業の届出をしたものであるが、貸金業の金利の最高限度は、同法第八条により準用せられる臨時金利調整法第二条から第五条まで及び第六条第二項の規定に基いて定められなければならないものであるにかかわらず、まだ定められていない。たとい日歩二十銭の利率が大蔵省銀行局長の通牒に記載する貸金業者の金利の範囲内のものであつても、利息制限法第二条に定める制限を免れるものではない。又被控訴人は遅延損害金として約定利率に相当するものを請求するだけであつて、違約金の約定があつたことを主張するものでないから、同法第五条の適用を考える必要はない。従つて約定利息及び遅延損害金は同法に定めた年一割の割合に減額されなければならない。そうすると、被控訴人の本訴請求は貸金五万円及びこれに対する昭和二十七年二月十日から支払ずみまで年一割の割合による約定利息及び遅延損害金の支払を求める限度でこれを認容すべきものであるが、その余は失当としてこれを棄却しなければならない。そこでこれと同旨でない原判決を右のように変更することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九六条第八九条第九二条を適用し主文のとおり判決する。
(裁判官 大野美稲 熊野啓五郎 村上喜夫)